3月17日(金)に同志社大学東京サテライト・キャンパスにおいて、第4回「新ビジネスフォーラム」を開催しました。今回は「明日の医療・診断を担う先端技術イノベーション」と題して、医療・診断・バイオ関係の企業や研究機関から46名の方々に参加をいただき、本学の生命医科学部の4名の教員から質量分析や病理解析を用いた生体分子の分析・病態診断技術、再生医療に必要な要素技術の開発や再生医療の臨床研究を紹介しました。
最初に盛満正嗣知的財産センター所長より開催のご挨拶と趣旨説明があった後、教員からのシーズ発表に移りました。
まず、池川雅哉教授から「イメージング質量分析法を用いた試料中組成分布評価の基盤技術」と題して、大型質量分析器を用いて生体組織や材料などに含まれる組成分布局在を試料から直接明らかにするイメージング質量分析法を解説し、試料の前処理、イオン化、データ解析などの基盤技術を紹介しました。本方法は医療や創薬の分野で、創薬標的の探索・検証、薬剤作用機序の解明、臨床バイオマーカーの探索などに応用することが可能です。
続いて、剣持貴弘教授が「新規ながん診断法:病理切片の張力応答の活用」と題し、組織切片に張力を印可した際に形成されるひび割れパターンから得られる情報を新たな指標とした定量的な病理診断方法を肝癌を例として紹介しました。悪性腫瘍などの病理診断は、組織切片の光学顕微鏡観察が標準的な手法ですが、定量的な基準が明確でなく判定が困難な場合もあります。本法を確定診断を補完する手段として用いることにより、信頼性が高く、短時間で効率の良い病理診断が可能となります。
後半の二題は再生医療分野の発表となります。
まず、森田有亮教授から「組織再生におけるナノファイバーを応用した細胞足場の開発」と題して、組織再生を促すナノファイバーの細胞足場(スキャホールド)のエレクトロスピニングによる創製技術について神経、骨、軟骨を例に紹介しました。作製された新規スキャホールドは組織再生に求められる「細胞の接着、増殖および分化の促進」、「組織内での細胞活性の維持」、「生体内環境の模倣」を実現することができ、細胞活性を促進することが確認されました。
最後に、小泉範子教授が「培養ヒト角膜内皮細胞移植による角膜再生医療の開発」と題して、角膜内皮障害によって重症の視力障害を生じる水疱性角膜症に対する再生医療を紹介しました。これまでに、移植可能なヒト角膜内皮細胞の培養法を確立し、サルを用いた前臨床研究を経て2013年には培養角膜内皮細胞移植の臨床研究が開始されました。現在は細胞医薬としての製品化に向け、細胞保存技術の開発などに取り組んでいます。
質疑応答では、各シーズの優位性や実用化へ向けた課題などについて熱心な質問が続き、終了後にラウンジで行われた名刺交換会では、参加者の皆様と講演者の教員が発表テーマをもとに情報交換、意見交換を行いました。
今回のフォーラムでは、医療・診断技術や再生医療分野の企業や関係研究機関に向けて、同志社大学の革新的な研究シーズを紹介するとともに、本学が取り組むライフ・イノベーション分野の先端的な取り組みをアピールする機会となりました。これらの研究シーズについて、企業・研究機関の皆様と連携して新たな事業展開を生み出したいと考えております。ご関心のある企業・研究機関の皆様からのご提案、お問い合わせをお待ちしております。本学リエゾンオフィスまでお気軽にご連絡ください。
最初に盛満正嗣知的財産センター所長より開催のご挨拶と趣旨説明があった後、教員からのシーズ発表に移りました。
まず、池川雅哉教授から「イメージング質量分析法を用いた試料中組成分布評価の基盤技術」と題して、大型質量分析器を用いて生体組織や材料などに含まれる組成分布局在を試料から直接明らかにするイメージング質量分析法を解説し、試料の前処理、イオン化、データ解析などの基盤技術を紹介しました。本方法は医療や創薬の分野で、創薬標的の探索・検証、薬剤作用機序の解明、臨床バイオマーカーの探索などに応用することが可能です。
続いて、剣持貴弘教授が「新規ながん診断法:病理切片の張力応答の活用」と題し、組織切片に張力を印可した際に形成されるひび割れパターンから得られる情報を新たな指標とした定量的な病理診断方法を肝癌を例として紹介しました。悪性腫瘍などの病理診断は、組織切片の光学顕微鏡観察が標準的な手法ですが、定量的な基準が明確でなく判定が困難な場合もあります。本法を確定診断を補完する手段として用いることにより、信頼性が高く、短時間で効率の良い病理診断が可能となります。
後半の二題は再生医療分野の発表となります。
まず、森田有亮教授から「組織再生におけるナノファイバーを応用した細胞足場の開発」と題して、組織再生を促すナノファイバーの細胞足場(スキャホールド)のエレクトロスピニングによる創製技術について神経、骨、軟骨を例に紹介しました。作製された新規スキャホールドは組織再生に求められる「細胞の接着、増殖および分化の促進」、「組織内での細胞活性の維持」、「生体内環境の模倣」を実現することができ、細胞活性を促進することが確認されました。
最後に、小泉範子教授が「培養ヒト角膜内皮細胞移植による角膜再生医療の開発」と題して、角膜内皮障害によって重症の視力障害を生じる水疱性角膜症に対する再生医療を紹介しました。これまでに、移植可能なヒト角膜内皮細胞の培養法を確立し、サルを用いた前臨床研究を経て2013年には培養角膜内皮細胞移植の臨床研究が開始されました。現在は細胞医薬としての製品化に向け、細胞保存技術の開発などに取り組んでいます。
質疑応答では、各シーズの優位性や実用化へ向けた課題などについて熱心な質問が続き、終了後にラウンジで行われた名刺交換会では、参加者の皆様と講演者の教員が発表テーマをもとに情報交換、意見交換を行いました。
今回のフォーラムでは、医療・診断技術や再生医療分野の企業や関係研究機関に向けて、同志社大学の革新的な研究シーズを紹介するとともに、本学が取り組むライフ・イノベーション分野の先端的な取り組みをアピールする機会となりました。これらの研究シーズについて、企業・研究機関の皆様と連携して新たな事業展開を生み出したいと考えております。ご関心のある企業・研究機関の皆様からのご提案、お問い合わせをお待ちしております。本学リエゾンオフィスまでお気軽にご連絡ください。