Quantcast
Channel: 同志社大学 研究・産官学連携の研究・産官学連携に関するトピックス
Viewing all articles
Browse latest Browse all 439

第3回「新ビジネス」フォーラムを開催しました

$
0
0
 12月8日に同志社大学東京オフィスにおいて、第3回「新ビジネス」フォーラムを開催しました。今回は「未来の新しい医療を拓く創薬シーズ」をテーマとして、生命医科学部の5人の教員が本学の取り組むユニークで新規な、創薬の標的、モダリティ、技術、用途を紹介しました。製薬業界を中心とした企業やJSTやAMED等の関係機関から約30名の方々にご参加頂きました。

 岩井誠人リエゾンオフィス所長より開催のご挨拶と趣旨説明があった後、5人の教員からの創薬シーズ発表に移りました。

 最初は、斎藤芳郎准教授が「血漿セレン含有タンパク質セレノプロテインPを標的とした2型糖尿病および癌への創薬展開」と題して、必須微量元素“セレン”を運ぶセレノプロテインP(SeP)が2型糖尿病患者で増加し、インスリン抵抗性やインスリン分泌能を悪化させること示し、創製されたSeP中和抗体によって改善効果が認められた結果を紹介しました。また、本法の癌治療への適応についても解説しました。

 続いて、和久剛助教が「転写因子NRF3を標的としたプロテアソーム阻害による抗がん剤創薬」と題し、新規に発見された転写因子NRF3がタンパク質分解装置であるプロテアソームの発現制御を介してがん細胞の増殖を亢進させていることを示し、NRF3を標的とした、副作用が低減できる可能性のある新たな抗がん剤創薬の基盤研究を紹介しました。

 続く二題は治療薬が切望されているアルツハイマー病の創薬研究の発表となります。

 まず浦野泰臣助教は「ACAT阻害剤のドラッグリポジショニングによるアルツハイマー病治療薬の開発」と題して、過去に動脈硬化治療薬として開発されたacyl-coA:cholesterol acyltransferase(ACAT)阻害剤をその作用機序からアルツハイマー病(AD)治療薬として新たに展開(ドラッグリポジショニング)できるのではないかと考え、実際に神経細胞死を抑制する結果を示しました。

 さらに、舟本聡准教授は「APP特異的キャッピングによる副作用のないアミロイドβ産生抑制薬の開発」と題して、ADの主原因と考えられているアミロイドβ(Aβ)が産生酵素によって生成される時に、その基質となるAβ前駆体にキャップをしてAβが生成されなくなる作用を持つペプチド創薬を紹介しました。従来は産生酵素が創薬標的として研究されてきましたが、副作用も多く成功には至っていません。発想を逆転させた非常にユニークなコンセプトの研究と言えます。

 最後に、西川喜代孝教授は「感染症・炎症・疼痛を適応疾患としたペプチド創薬」と題し、腸管出血性大腸菌毒素、インフルエンザウイルス、さらには炎症・疼痛疾患に関わる細胞内情報伝達分子群など、多量体相互作用によってヒト細胞・組織への結合親和性を亢進させ、重篤な症状を呈する疾患に対し、独自のペプチドライブラリから多価型ペプチド創薬を創製することによって、病因の結合・作用を遮断する新技術と治療薬開発への展望を紹介しました。

 質疑応答では、各シーズの優位性や実用性について熱心な質問が続きました。

 終了後にラウンジで行われた名刺交換会では、参加者の皆様と講演者とが講演テーマをもとに情報交換、意見交換を行いました。

 製薬業界では、オープンイノベーションの取組みが進んでおり、各大学や研究機関の革新的な創薬シーズに関心を向けています。今回のフォーラムを通して、製薬企業や関係者に向けて、各研究シーズを紹介するとともに、本学が取り組むライフ・イノベーション分野の創薬研究成果をアピールする機会となりました。

 次回は、3月17日(金)に「医療・診断技術 」をテーマに開催する予定です。企業の皆様のご参加をお待ちしております。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 439

Trending Articles