佐藤和佳さん(生命医科学研究科 医生命システム専攻 2022年3月修了(現:現東京大学大学院薬学研究科 特任研究員))、高橋美帆(生命医科学部 医生命システム学科 助教)、西川喜代孝(生命医科学部 医生命システム学科 教授)、ならびに舟本聡(生命医科学部 医生命システム学科 准教授)らの研究成果がCommunications Biology誌に掲載されました。
アルツハイマー病(AD)は、アミロイドβ(Aβ)が脳内で長期に渡り異常蓄積することで発症すると考えられています。このことから、Aβの産生を抑制する薬剤はADに対する有効な治療薬になると期待されます。Aβは、神経細胞膜上に存在するアミロイド前駆体タンパク質(APP)が、βおよびγ―セクレターゼと呼ばれる2種類の酵素によって順次切断されることで産生されます。その後Aβは細胞外へ放出され、不溶性の凝集体を形成し蓄積します。本研究グループは、多価型ペプチドライブラリースクリーニング法を用いて、Aβに強く結合する4価型ペプチド、LME-tetを同定しました。細胞内において、LME-tetはAPP中のAβに相当する領域に結合し、βセクレターゼによる切断を特異的に阻害することで、Aβの産生を抑制しました。さらに、LME-tetはAβに結合することで凝集体形成を抑制する能力も有していることがわかりました。そこで、ADモデルマウスにLME-tetを腹腔内投与したところ、マウス脳内のAβの蓄積が抑制されることがわかりました。これらの結果から、LME-tetはAβの産生抑制と、Aβの凝集体形成抑制という2つの機能を併せ持つ、優れたAD治療薬となることが期待されます。
研究内容の詳細は以下の関連情報をご覧ください。
(*corresponding author)
アルツハイマー病(AD)は、アミロイドβ(Aβ)が脳内で長期に渡り異常蓄積することで発症すると考えられています。このことから、Aβの産生を抑制する薬剤はADに対する有効な治療薬になると期待されます。Aβは、神経細胞膜上に存在するアミロイド前駆体タンパク質(APP)が、βおよびγ―セクレターゼと呼ばれる2種類の酵素によって順次切断されることで産生されます。その後Aβは細胞外へ放出され、不溶性の凝集体を形成し蓄積します。本研究グループは、多価型ペプチドライブラリースクリーニング法を用いて、Aβに強く結合する4価型ペプチド、LME-tetを同定しました。細胞内において、LME-tetはAPP中のAβに相当する領域に結合し、βセクレターゼによる切断を特異的に阻害することで、Aβの産生を抑制しました。さらに、LME-tetはAβに結合することで凝集体形成を抑制する能力も有していることがわかりました。そこで、ADモデルマウスにLME-tetを腹腔内投与したところ、マウス脳内のAβの蓄積が抑制されることがわかりました。これらの結果から、LME-tetはAβの産生抑制と、Aβの凝集体形成抑制という2つの機能を併せ持つ、優れたAD治療薬となることが期待されます。
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タイトル
A tailored tetravalent peptide displays dual functions to inhibit amyloid β production and aggregation.著者
Waka Sato, Miho Watanabe-Takahashi, Takuya Murata, Naoko Utsunomiya-Tate, Jun Motoyama, Masataka Anzai, Seiko Ishihara, Nanako Nishioka, Hina Uchiyama, Juri Togashi, Saeka Nishihara, Kiyoshi Kawasaki, Takashi Saito, Takaomi C. Saido, Satoru Funamoto*, Kiyotaka Nishikawa*(*corresponding author)