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Channel: 同志社大学 研究・産官学連携の研究・産官学連携に関するトピックス
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心理学研究科・西岡優彦さん,畑敏道教授らの論文がBehavioural Brain Research誌に掲載されました

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心理学研究科博士課程(前期課程)心理学コースの西岡 優彦さん,畑 敏道教授らの論文がBehavioural Brain Research誌に掲載されました。

 記憶はこれまでの経験・学習をもとに生物が行動するために必要不可欠です。記憶は数時間程度持続する短期記憶から,数日以上持続する長期記憶へと移行します。実際に,恐怖や空間といった様々な記憶で,長期記憶の形成に関わる脳の領域やはたらきが特定されてきました。本研究は,数十秒程度の時間間隔の長さに関する長期記憶の形成には背側線条体のアセチルコリンM1受容体の活動が必要であることを初めて明らかにしました。
 はじめに,ラットに試行開始から20秒経過後にレバー押しをすると餌が獲得できることを学習させました。次に,それぞれドーパミン,グルタミン酸,アセチルコリン受容体のサブタイプの一つであり,背側線条体での記憶形成に重要であるD1受容体,NMDA受容体,M1受容体の阻害剤を背側線条体に投与し,40秒経過後にレバー押しをすると餌が獲得できることを学習させました。翌日にラットがどの時間により頻繁にレバー押しを行うかテストしました。
 薬物を投与した日では,いずれの薬物を投与したラットも40秒付近で頻繫にレバーを押しました。このことは,新しい時間間隔の長さの記憶を獲得したことを示唆しています。しかし,翌日のテストでは,D1受容体とNMDA受容体を単独あるいは複合的に阻害したラットでは40秒付近で頻繫にレバーを押した一方で,M1受容体を阻害したラットは古い記憶である20秒付近で頻繫にレバーを押しました。これはM1受容体の阻害によって40秒という時間間隔の長さの記憶が翌日まで持続しなかった,つまり長期記憶へと移行されなかったことを示しています。これまでの研究では,背側線条体内のドーパミン,およびグルタミン酸受容体が特に時間間隔の長さの記憶の形成に重要であると推測されてきましたが,本研究の結果から,これらの受容体の一部のサブタイプの関与を否定するとともに,M1受容体が関与していることが示唆されました。
掲載誌
Behavioural Brain Research誌

タイトル
Intra-dorsal striatal acetylcholine M1 but not dopaminergic D1 or glutamatergic NMDA receptor antagonists inhibit the consolidation of duration memory in interval timing

著者(敬称略)
Masahiko Nishioka
(同志社大学大学院心理学研究科 博士課程(前期課程))
Taisuke Kamada
Atsushi Nakata
Naoko Shiokawa
Aoi Kinoshita
Toshimichi Hata
(同志社大学心理学部 教授)

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